「シアンさん、何か一つ貰えるのなら何が欲しいですか?」
「……なんだと?」
たまたま読んだ本にこんな事が書いてあった。
12月のある日の夜。枕元に靴下を吊るしておくと、翌朝、自分の欲しいものが入っていると。
それは真っ赤な装束に身を包んだ白髭の老人と、相棒のトナカイがソリを引いて、夜の間に配り歩いているというものだった。
けれど、プレゼントを貰えるのは子供だけのようで私たちは対象外だ。
とはいえ、シアンさんなら何を欲しいというだろうと思い、問いかけた。
シアンさんは私の膝の上にある本を一瞥すると、ふんと鼻を鳴らした。
「欲しいものなんて、自分で手に入れるに決まってるだろう」
「……ふふ、そうですよね」
シアンさんはそういう人だ。
その言葉に思わず笑みを零した次の瞬間、強い力で引き寄せられる。
「だが、お前が俺に何かを贈りたいというのなら――」
シアンさんの指が、ふに、と私の唇を撫でる。
彼のいわんとすることを理解した途端、顔が熱くなる。
「シアンさん、今の話は私から贈るのではなく、サンタクロースが……」
「俺に欲しいものを訊ねたのはお前だろう、セレス。白髭の老人なんぞ知らん」
「知ってるんですね、やっぱり……!」
「それで? 俺の欲しいものとやらはくれるんだろう。なあ、セレス」
揶揄うような声色。
だけど、瞳が本気だ。
「~~っ、シアンさんの意地悪……」
観念した私が、シアンさんに口づけをするまであと少し。