双子というものは、前世で心中した男女の生まれ変わりだと聞いた事がある。
自らの命を絶つというのはそれほど罪深いものなんだという事だろう。
それなら、前世の私たちはきっとさぞかし酷い事をしたんだろう。
そうじゃなければ、私たちが血の繋がった兄と妹であるわけがない。
「変わりはないようだな」
「そうね、相変わらずよ」
定期健診だと言って、私の屋敷にやってきた叉梗は私の胸元に広がる剥の痕を確認して小さく頷いた。
「そういえば定期健診だなんて言って道摩のところへ行って追い返されたそうね」
はだけさせた胸元をしまいながら、言葉を投げかけると叉梗は曖昧に笑った。
白であるオランピアを研究したい叉梗は、道摩から嫌われている。何か用事をひねりだして黄の屋敷に行っても相手にしてもらえないそうだ。
「剥で失ったものを取り戻したいという気持ちは島民全ての願いだろう?」
紛い物の瞳で私を見つめて、叉梗は熱く語る。
叉梗は左目を失い、私は子どもを産める身体を失った。
この世界では、子どもを成せない人間には価値がない。
青の長であった夫に初めて交配された日、あまりのおぞましさと激痛に早く終わって欲しいと心の底から願ったものだ。
女だから、好きでもない男に抱かれるのだ。より美しい青を残すために。
もしも、交配の相手が叉梗だったらあれほどまでに苦痛を覚えなかっただろうと考えた時、私は震えた。
私に触れるのは、叉梗だけが良いと思っている事に気づいてしまったからだ。
「ねえ、叉梗」
体を重ねた事はおろか、唇さえ合わせた事はない。
だけど、私が求めてやまないのは目の前にいるたった一人の男なのだ。
「私たち、来世は何に生まれ変われるのかしら」
好きだとも、愛してるとも言った事はないし、言われた事はない。
私は青の長で、彼は医療院の医院長。
それだけなんだから。ええ、時々検診のついでにお茶をするだけだから茶飲み友達といったところかしら。
そんな私たちはどうすれば……
「きっと、ただの男と女に生まれ変わるだろう」
そう言って笑った叉梗を見て、私はなぜだか泣きたくなった。