※誕生日プレゼントバレ
誕生日、静真さんにもらったテディベア。
それは可愛いだけではなく、静真さんが吹き込んだメッセージを再生してくれるという優れものだ。
朝起きた時、出かける時、帰ってきた時、そして眠る前。
一日何度も話しかけているうちにそれがすっかり習慣となっていった。
部屋の明かりをつけ、定位置に置いてあるテディベアを抱え、一撫でする。
「ただいま、静真さん」
このテディベアは体のある部分を押すと、録音してあるメッセージが流れる。
それが今の状況にあっているようなメッセージだと嬉しくなるし、そうでなくても好きな人の声を聞けるなんて幸せ以外何物でもない。
だから帰宅するとついつい話しかけてしまうんだけど……
私はすっかり忘れていた。
今日は一人ではなく、静真さんがいるということを。
「……」
「あ」
気まずそうに視線を逸らす静真さん。
そのタイミングで静真さんが吹き込んでくれたメッセージが流れ出す。
いつもだったらその声に耳を傾けるんだけど、今は目の前にいる本人にどう思われたのか気になって仕方がない。
「すいません、静真さん。ええと、ついいつもの習慣で……」
「習慣?」
「だってこの子をくれた時、静真さん言っていたじゃないですか。
静真さんがいない時、話し相手になってくれるって」
「……君は、それを実行していると?」
「そうです」
「習慣になるほどに」
「……そうです」
もしかしてあれは冗談だったのだろうか。
そうだとしたら、私のあまりの子供っぽさに呆れてしまっただろうか。
静真さんは何も言わず、私の腕の中からテディベアを引き抜いた。
それを元の場所に戻すと、静真さんは私を正面から抱きしめた。
「習慣になるほど大切にしてくれていることは嬉しい。
だけど、あれを渡す時にこう言ったはずだ。
『私がいない時、話し相手になってくれる』と」
「……もしかして」
静真さんは、自分がプレゼントしたテディベアにヤキモチを妬いたのだろうか。
恐る恐る顔をあげると、美しい青い瞳が私を熱っぽく見つめていた。
雄弁すぎる瞳に、じわりと頬が熱くなる。
「静真さん、ただいま」
やり直すように告げると、静真さんは小さく笑って「おかえり」の代わりに優しい口づけをしてくれた。