クリスマスが来週に迫った最後の休日。
豪さんと二人で近所のスーパーに来ている。
「クリスマス前ってことで品揃えがいつもと違いますね……!」
「毎年、この時期になると普段並ばない食品を見かけるので楽しいんですよ」
豪さんは弾んだ声でそう言った。
食品が陳列されている棚も赤と緑の装飾が施され、クリスマスまっしぐら!という印象だ。
「豪さん、丸鶏まで売ってます!」
「ふふ、気になりますか?」
「ちょっとだけ……でも、二人で食べきるのは難しいかなぁ」
「食べきれなかったら翌日も食べれば大丈夫ですよ。サンドイッチの具にしても美味しいでしょうし」
「サンドイッチ! それでもいいですね!」
食材を見ながら、あれこれ話をするのは楽しい。
といっても私の「あれが気になる!」に豪さんが「じゃあ、こういうのはどうですか?」と提案してくれるものばかりだ。
完全に胃袋を握られてしまっている。
「玲さん、どうかしましたか?」
「今更ながら豪さんに胃袋を掴まれちゃったなーと思いまして」
「ふふ、掴んじゃいましたか」
「それはもうがっちりと」
「俺は玲さんにハートを掴まれているので安心して」
「……っ!」
そう言ってにこりと笑う豪さん。
胃袋どころか、ハートまでがっちり掴まれている。
赤くなった頬を誤魔化すように軽く咳ばらいをすると、豪さんの笑みは更に深くなる。
「……クリスマス、楽しみですね」
「張り切ってご馳走を作りましょうね」
「はいっ!」
カゴの中は沢山の食材で溢れていく。
クリスマスまであと少し。
今年も来年も、それから先も豪さんと過ごせたらいいな。
そう思いながら、隣を歩く彼の腕をぎゅっと引き寄せた。