「ううん……」
寝返りを打とうとしたタイミングでパチリと目が覚める。
数回瞬きをすると、段々と暗闇に目が慣れていく。
私をしっかりと抱きしめて眠るギルの寝顔に思わず笑みが零れた。
彼と触れ合っている部分はとても暖かく心地よい。
けれど、彼にも抱かれずタオルケットのかかっていないむき出しの肩はすっかり冷えていた。
もう秋も終わりが近いなぁと思いながら、そっと彼の腕を抜け出した。
(……さすがに全裸でトイレに行くのは良くないわよね)
ベッドの下に散らばった服の中からショーツを見つけて履く。ブラをつけるのはちょっと面倒だからトップスを探すと、ギルのシャツを見つけた。
少しの間なら拝借するくらいなら問題ないだろう。
そう思った私はギルのシャツをすっぽりと頭から被り、そそくさとトイレへと向かう。
トイレを済ませ、ベッドに戻ってきた私は改めて自分が着ているギルのシャツをスンスンと嗅いでみる。
当然の事だけど、ギルの匂いがした。
さっきまでギル本人に抱きしめられていたけれど、彼のシャツを着ているとギルに抱きしめられている気分になる。これはちょっと癖になりそう。
(今度ギルが仕事で忙しい時とかに着てみようかな。ああ、でもそうしたらもっとギルが恋しくなりそう)
そんな事を悶々と考えていると、ベッドで寝ているギルが「ううん」とうめき声をあげる。
ベッドの腕を探るように動く手。何を探しているんだろうと小首をかしげて見つめていると「……リネット」とギルが言った。
彼が探しているのは私なのだと気づいた瞬間、顔が熱くなった。
私を探す手が、ついに私を見つけてしまう。
「きゃっ」
そのままベッドに引きずり込まれ、ギルに抱きしめられる。
「ギル、起きてるの?」
恐る恐る訊ねてみるが、返事はない。
代わりに私を抱きしめる腕にはますます力が籠る。
彼は眠っていても、私を探してくれるんだ。
そう思ったらどうしようもなく嬉しくて、胸の鼓動は高鳴る一方だ。
「ギル、大好きよ」
眠る彼の頬にキスをして、そのまま彼の胸に頬を寄せる。
トクントクンとギルの鼓動に耳を傾けている内に私は再び眠りに落ちていった。