「ハルくーん、キスしちゃうよ」
冬の朝は布団から抜け出すのが大変だ。寝室の空気は冷え切っていて、布団から出たくない気持ちはとてつもなく良く分かる。けど、そろそろ起きないと朝ごはんを食べる時間がなくなってしまう。
「ハルくん、起きて」
「んー……あと五分」
「もうその五分経ったんですけど?」
布団を頭まですっぽりと被ったハルくんをゆさゆさと揺らすが、一向に頭が出てこない。
仕方がない。最終手段に出よう。
覚悟を決めた私はえいっとハルくんの上に乗り、少しだけ布団をずらして、ハルくんのつむじに話しかける。
「キスしちゃうよー」
我ながら脅しにもならない脅し文句を口にして、ハルくんのつむじに唇を押し付ける。するとびくんとハルくんの体が震えたのが布団越しに伝わってくる。
(これは効果ありだ!)
ハルくんのつむじに何度も唇を押し付け続ける。すると布団からハルくんの腕が伸びて、そのまま布団の中に引きずり込まれる。
「わっ、ハルく――」
抵抗する間もなく、手首をベッドに押し付けたままハルくんは私の唇を奪った。激しいキスにくらくらと眩暈がする。
「玲、逆効果って分かる?」
「え? ちょ、ハルくん待って……!」
「駄目。誘ってきたの、玲でしょ?」
「んッ――」
私の制止を聞かず、再び唇を奪われる。
次第に抵抗する思考も奪われていき、気づけばハルくんとのキスに夢中になっていく。
ギリギリの時間までベッドから離れられなかった私たちは二人揃って息を切らしながら、登庁するのだった。