「……キス、してもいい?」
京介くん主演の二時間ドラマの放送時間。うきうきと温かい飲み物をマグカップに注ぎ、京介くんと並んで座り、ドラマが始まるのを待つ。
「愉しみだな、京介くんのドラマ」
「ありがとう。この撮影結構大変だったから楽しんでもらえたら嬉しいな」
「そうだったんだ? 京介くんが弁護士の役だなんて見る前からかっこいいんだろうなってわくわくする」
私の言葉に京介くんは目を細めて笑う。
京介くんのドラマを京介くんと見る。なんて贅沢な時間なんだろうと思いながら、私はテレビ画面に京介くんが映し出されるのを見て、より一層胸を高鳴らせるのだった。
「どうだった?」
ドラマが終わった後、京介くんが私の顔を覗き込みながら訊ねてくる。呆けた顔のまま、私はなんとか言葉を絞り出す。
「すごかった……」
「はは、ありがとう」
弁護士が依頼人とあんな激しいキスをするなんて誰が思っただろうか? ちらりと京介くんを見ると、京介くんはにこにこと笑っている。
(いや、今までだってお芝居の中で京介くんのキスシーンは何度も見てるけど!)
役柄のせいなのか、それとも京介くん自身の色気が増したのか。私には正解が分からないけど、凄く胸がドキドキしている。
「あの、京介くん?」
「なに? あ、カップ空だね。紅茶淹れてくるよ」
立ち上がろうとした京介くんの手を慌てて掴む。
ドラマにあてられたんだろうか。京介くんに触れたくて仕方がない。
私の言葉を聞いて、京介くんは嬉しそうに顔をほころばせるのだった。