照りつける太陽から逃げるように、私たちは海へと潜った。
青く透き通った海は冷たすぎず温かすぎない温度で私たちを迎えてくれる。
「相変わらず生き生きと泳ぐな、あんた」
「だって泳ぐの好きなんですもの」
子どもの時から散々素潜りしたし、暑い日は今も時々こっそり一人で泳ぐ事もある。(それが玄葉に見つかって、禁止されちゃったから久しぶりに泳いでいるのだけど)
しばらく二人で泳いでいると、玄葉は唐突に私の腕を掴んで後ろから抱きしめた。
水のなかとはいえ、直接肌が触れ合うのは……少しいかがわしい事を思い出してしまうのは仕方ないと思う。
「玄葉? どうかしたの?」
「ここ、赤くなってる」
つぅーっと玄葉の指が私のうなじをなぞる。
泳ぐために後ろで一つのまとめていた髪が、揺れる。
「日に当たってたから焼けたのかもしれないわ。軟膏が隠れ家にあるから後で塗れば大丈夫だと思うけど」
玄葉は何も言わず、赤くなってるであろううなじを何度も何度もなぞる。
少しくすぐったくて、身をよじろうとすると空いている腕で私の腰を抱いて逃げれないようにする。
「なあ、白夜
あんたの綺麗な白い肌を赤く色づけるのは俺だけで十分だろ?」
耳朶に唇を寄せて、玄葉はそっと囁く。
その声にぞわりと肌が粟立つのはくすぐったいから。決して夜の睦言を思い出しているわけではない。
玄葉の唇が、うなじに触れる。ちゅ、ちゅ、と音を立てて何度も口づけ、最後にはそこをきつく吸い上げると、ぴりっとした痛みが走る。
「んっ――」
「うん、これで良い」
「玄葉……!? 何を……!」
「はは、あんたの喜ぶこと」
「喜ぶことって……!」
玄葉は満足そうに笑うとうなじから手も唇もどかして、ぎゅっと私を抱きしめる。
「ところで、白夜」
「なにかしら」
後で鏡を使えば玄葉のした事は見えるかしら、なんて考えていると玄葉は私の考えよりもっと先へ進んでいた。
「あんたの肌に触れてたらあんたを抱きたくなったんだけど、どうする?」
「どっ!?」
それはさっき私が思い出していたもので。
恐る恐る玄葉の方を振り返ると、口元には笑みを浮かべているがその瞳は私を求める時のものに変わっていて、心が騒ぐ。
「…………――隠れ家に戻ってから、なら……」
私が最後まで言い切る前に玄葉の唇が私の唇を塞いでしまう。
そうして待ちきれないと言わんばかりに私の体を撫でまわした後、私を横抱きに抱え、海から上がる。
「玄葉!?」
「あんたといると一分一秒が惜しくなるな」
「それは私もよ」
触れ合う肌から伝わる玄葉の鼓動はいつもより早くて。
私はどうしようもなくときめいてしまうのだった。
――そうして、濡れたままベッドに飛び込んだ私たちは全てが終わる頃、揃ってくしゃみをするのだった。