遅れてやってきたキスの日~始まり~

「ど、どうしたらいいかしら……だいふく」
「キキキ?」
私はベッドの上でカメリアからもらった本を読みながら悩んでいた。
その本にはキスをする体の部位によって意味が異なるというのを図解で分かりやすく書かれていた。
『もうすぐキスの日ですし、えいっといっちゃいましょー!』
カメリアはいつもの調子で明るく言うと私にその本を押し付けたのだ。
(キスの日って……キスをする日ということ、よね?)
そんな日があったなんて知らなかった。自分の勉強不足に少し肩を落としたが、それでもその日はまだ来ていない。だから今からでも遅くはない。
普段彼に思っている気持ちをキスする位置の意味で決めればいいのか。
「ああ、これは恥ずかしい気が……でも」
やるしかない。せっかくカメリアが教えてくれたんだもの。
「私、頑張るわ。だいふく、応援しててね」
「キキ!」
「……でも、まずは」
私はその小さな体を掌に乗せると、だいふくを自分の顔へそっと近づけると、その小さな鼻にちゅっとキスを落とす。
「いつもありがとう、だいふく」
「キキ、キキキ!!」
「ふふ、だいふくもお礼を言ってくれてるの?」
この子はいつも私に寄り添ってくれた大切な子。
だから、彼より先にキスを贈る事を許してほしい。
(当日にしたわけじゃないから大丈夫よね? きっと)
だいふくのほっぺたをツンツンとつつくと、ふにゃりと表情を崩す。
その姿を私は幸せな気持ちで眺めるのだった。

 

 

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